閣議に臨む(左から)甘利明(あまり・あきら)経済再生相、安倍晋三(しんぞう)首相、石破(いしば)茂地方創生相=2015年2月10日午前、首相官邸(共同)【拡大】
旧大綱では、国民総所得(GNI)など国際基準に従って支援先を決めていたが、新大綱では日本が支援対象を独自に判断する裁量をもたせた。GNIが一定基準に達し、支援対象外となった「ODA卒業国」への支援を再開する。
重点政策では「平和で安全な社会の実現」を掲げ、紛争による不安定な社会を改善するため、難民や避難民支援などの人道支援も積極的に行う。開発途上国への支援が「国益」にも寄与する観点を重視するほか、政府以外の支援の重要性が増していることから、民間部門との連携を強化する。
≪国益確保 「積極的平和外交」前面に≫
政府が10日に閣議決定した開発協力大綱は、安倍晋三首相(60)が掲げる「積極的平和外交」を色濃く反映し、国際情勢の安定に日本がさらに貢献していく姿勢を打ち出した。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」によるテロへの対抗策として首相が強調する周辺国への人道支援の拡充も新大綱に沿うもので、これまでの民生分野での支援にとどまらない「国益の確保に貢献する」対外援助戦略を鮮明に示している。