閣議に臨む(左から)甘利明(あまり・あきら)経済再生相、安倍晋三(しんぞう)首相、石破(いしば)茂地方創生相=2015年2月10日午前、首相官邸(共同)【拡大】
岸田文雄外相は10日の記者会見で「(非軍事分野の支援を)明確化したことは透明性に向けての一つの前進だ。国民に理解されるように運用していく」と述べ、他国軍への非軍事目的の支援に踏み込んだことに伴う軍事転用の懸念払拭に努める考えを強調した。
個別具体的に検討
従来のODA大綱は「軍事転用を回避する」との運用基準にとどめていたが、「実質的な意義に着目し、個別具体的に検討する」と踏み込んだからだ。
旧大綱では軍事転用の回避を重視するあまり、近年は2013年度のODA予算でセネガル軍が管轄する拠点病院に約1億3000万円を拠出した例がある程度だった。
しかし途上国では災害支援などに軍が関与するケースが少なくないため、これまで「軍の関与」の題目で一律排除されてきた支援の幅が広がることになる。
人道支援の面でも「切れ目のない平和的構築支援を行う」として、紛争予防から復旧復興までを一括して行う方針だ。中東、アフリカ、アジアなどの紛争地域では軍が関与する非軍事的活動が増え、「日本の貢献がより求められてくる」(外務省幹部)ことが想定される。