ウクライナ東部の紛争は10日、親ロシア派武装勢力がドネツク州の要衝、デバリツェボで政権側部隊を包囲するなど緊迫した状況が続いた。11日に予定されるロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4カ国首脳の和平協議には難題が山積しており、親露派は後ろ盾となっているロシアが交渉を優位に進めるべく攻勢を強めているもようだ。
親露派組織「ドネツク人民共和国」によると、親露派は幹線鉄道の交差する戦略的要衝、デバリツェボの一帯で政権側部隊の約6000人を包囲した。ウクライナ政府は「包囲」情報を否定したが、激しい戦闘が続いているとしている。
ロシアと親露派、ウクライナなどは昨年9月、停戦方法や親露派支配地域の地位について盛り込んだ和平文書に合意。しかし、ロシアの軍事支援を疑われる親露派が今年に入り攻撃を強め、和平協議の「仕切り直し」が急務となっている。
11日にベラルーシの首都ミンスクで予定される4カ国の首脳会談に向け、9日には4カ国が外務次官級協議をベルリンで開催。10日には、ミンスクで親露派や欧州安保協力機構(OSCE)を交えた会合を行い、最終調整を図る。
和平協議では、親露派と政権側部隊の停戦ラインや非武装地帯の設定、親露派地域の自治権などが焦点となる見通し。ただ、親露派は昨年9月以降の停戦合意後に支配領域を600平方キロ拡大したとされ、難しい交渉を予想する見方が強い。