世界中からハッカーが集まる会議「カオス・コミュニケーション・コングレス」の参加者たち。ハッカーたちの技術は政府や企業の予想を超える速度で進化している=2014年12月27日、ドイツ・ハンブルク(AP)【拡大】
その後、ハッカー集団は、ネットバンキングの国際送金サービスなども利用し、自分たちのダミー口座に銀行から大金を送金したり、キャッシュカードを使わず、特定の時間に特定の現金自動預払機(ATM)から現金をはき出させ、仲間が持ち去るといった手口を重ねた。
カスペルスキー側は被害にあった銀行名などは公表していないが、最高被害額は1000万ドル(約11億8500万円)。ATMから計730万ドル(約8億6500万円)を盗まれた銀行もあった。
行員まねる まるでスパイ
カスペルスキーからの情報を元にインターポールやユーロポールも犯人特定に努めているが、被害の大半がロシアだったことや、ウクライナ国内のATMが不定期に大金をはき出していたことで今回の一件が発覚したこと、そしてダミー口座が米JPモルガン・チェース銀行と中国農業銀行の名義だったことから、ロシア、ウクライナ、中国のハッカー集団が深く関わっているとみている。
ロシア在住のカスペルスキーの主要セキュリティー技術者セルゲイ・ゴロワノフ氏はBBCなど複数の欧米メディアに「ハッカー集団は銀行員のまねをし、銀行員の正常な日常取引に見せかけた」と話し、スパイのようにしたたかな手口に驚愕(きょうがく)したという。