首都圏の中高生に当時の写真を見せながら、震災体験を語る「南三陸町ボランティアサークル(MVC)ぶらんこ」のジュニア・リーダー(JL)=2013年10月12日、宮城県本吉郡南三陸町(ワールド・ビジョン・ジャパン撮影)【拡大】
そのときまで私は、JLの被災体験を面と向かって聞いたことはなかった。いつも明るいJLからつらい体験談を聞くことに、はじめは緊張を覚えたが、2人の話が進むに連れ、余計な感情は消えていった。そこには、あの日体験したこと、そして今思うことを、自分の言葉で率直に語る2人の姿があった。2人が語った内容は私の想像を絶するものだった。そんな体験を繰り返し語るのは、たやすいことではないはずだ。それにもかかわらず、自分たちが伝えなければならないという信念を持って語り部を続ける2人の勇気を、私は心から尊敬する。2人の話は、その場にいた同世代の首都圏の中高生の心にも深く刻まれたようだった。
MVCぶらんこは、まちプロ以外にも、以前から取り組んできた子供会の手伝いや地域のイベントのボランティア、ふるさとを学ぶ「南三陸わらすこ探検隊」(南三陸町復興推進ネットワーク)への参加をはじめ、町内外で活躍している。これらの活動は、子供や大人を笑顔にするものばかりだ。MVCぶらんこが思い描く町の将来像は、そうした活動の積み重ねにより、少しずつ形になっていくのではないだろうか。