阪神大震災から20年もの時が過ぎた被災地。このことを象徴する数字がある。「44」。最も被害が大きかった神戸市で、震災の後に生まれたか、市外から転入した「震災を知らない市民」の割合(昨年11月現在)が44%だ。このまま増え続ければ、震災を知らない人の方が多い時代が必ずくる。
地域とのつながり、コミュニティーへの帰属意識も薄れていく。
兵庫県が昨年1月に行ったアンケートで「最近1年以内に地域の防災訓練に参加した」と答えた人も35.1%だった。その事実は、命を守ることや高齢化社会を暮らしていくことと無縁ではない。
20年前のあの日、消防など公的救援がままならない中、住民は「ここの家は1人だけやない、まだおるで」などと声をかけ合い、救助に当たった。
近隣住民が助け出した被災者は、実は救助された被災者全体の約8割、約2万7000人にも上る。避難した先の避難所などでも「いたわり」や「支え合い」があった。