「イスラム国」と戦うキリスト教徒の義勇兵組織に参加する唯一の外国人女性。マスクと野球帽で素性が分からないようにして、イラク北部のドホークでインタビューに答えた=2015年2月13日(ロイター)【拡大】
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に欧米などから多数の若者が戦闘員として流れ込む一方、イスラム国と戦うために組織されたキリスト教徒の民兵組織にも少なくない欧米人が参加している実態が明らかになった。ロイター通信などが17日までに、メンバーとのインタビューを相次いで伝えた。元米陸軍兵士という男性は「残忍な敵と信仰のために戦っている」と語り、オーストラリアの男性は「(イスラム国は)野蛮で許せない」と、敵意をあらわにする。最前線は、憎しみが増幅する危険な“宗教戦争”の様相を呈しつつある。
「信仰のために戦っている」
報道によると、“義勇兵”として欧米人のキリスト教徒が参加しているのは、イラク北部ニナワ州で結成された民兵組織「Dwekh Nawsha(ドゥエイフ・ナウシャ)」。組織名はイラクの先住民族であるアッシリア人のキリスト教徒が今も使う古代アラム語で「自己犠牲」を意味する言葉だ。
2006年にイラク戦争に派遣されたという元米陸軍兵のブレット氏(28)は、ロイター通信のインタビューに「(イラク戦争当時とは)全く違う。ここでは人々のため、信仰のために戦っている。そして敵ははるかに大きく残忍だ」と語った。ブレット氏は敬虔(けいけん)なキリスト教徒をアピールするため、背中に大天使聖ミカエルのタトゥーを入れ、イラク派兵時から大切にしているポケットサイズの聖書を肌身離さず持っているという。