個人対個人の交わり
著者の池田は福岡生まれの人だから、会話の書き起こしは本当に苦労したそうだ。(あとがきに、最難関は「しおでびんと」という言葉だったと書いてあった。)朝市の人に方言の手直しもしてもらい、市場近くの温泉やアクセス情報も小さなスペースだが親切にも添える。じつに潔く丁寧な本だ。読後に僕は、「結局こういうことなんだよな」と独り言を口にしてしまうくらい、妙に納得してしまった。
本を選ぶときは、いつもインタビューをし、目の前の一個人に向けて選書したいと僕は常々思っている。そういう最小単位のコミュニケーションこそが仕事をする上で、唯一にして絶対の手応えだと考えているからだ。ビッグデータの使い方ばかりが盛んに語られ、SNSなどを利用すれば一度に多数の人と関わることができるご時世だからこそ、自分が「確かだな」と思える個人対個人の交わりに意識的でいたい。