【笑顔のアスリート学】
アスリートにとって、けがは付きものである。多くのトップ選手がどこかしらに故障を抱えているのが現状だ。一方で、けがによる外傷ではなく、内臓系の病気を抱えながら目標に向かっている選手も少なくない。私自身も苦しい経験をしたことがあるからこそ、ある選手の公表に注目した。
今年1月。辰巳国際水泳場で行われた東京都新春水泳競技大会(25メートルプールで行われる短水路)で、ロンドン五輪200メートルバタフライ銅メダリストの星奈津美選手(ミズノスイムチーム)が、昨年11月に「バセドー病」の手術をしたことを公表した。
星奈津美選手の苦闘、復活
今から約9年前。高校1年の春、彼女は体の不調を感じ病院へ。検査の結果、「バセドー病」と診断されたという。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで全身の新陳代謝が高まり、体にさまざまな悪影響を引き起こという。当時、医師からは体を激しく動かすことを禁止され、練習のできない日々が続いたというが、彼女の心は折れなかった。心にはいつも「日の丸」を背負い世界で戦うという目標があったからだ。