円覚寺は1282(弘安5)年に鎌倉幕府第8代執権、北条時宗が中国から無学祖元禅師を招き、2度にわたる元寇(文永・弘安の役)の死者を敵味方なく供養するために創建した。
この「敵味方なく」という精神こそが、武家政権以来の鎌倉の重要な価値観というべきだろう。だからこそ、宗教宗派を超えて震災で亡くなった人の霊を慰め、被災地の復興を祈願しようという動きが、この町から生まれたのではないか。
谷戸の奥深く広がる円覚寺の境内は、海辺とはまた異なる「山の鎌倉」の魅力を伝えている。
その山の鎌倉も、海の鎌倉も、そして町で生きる人たちもまた、宗教者とともに被災地の復興を願いつつ、5回目の鎮魂の日を迎えることになる。(編集委員 宮田一雄/SANKEI EXPRESS)