雨が降る。早春の休日。展示室。一歩足を踏み入れた。圧倒された。おびただしい量の銅剣。銅鐸(どうたく)。再現された黄金色の妖しい光。古代のパワーが充満しているかのようだ。
島根県出雲市大社町。県立古代出雲歴史博物館。展示されているのは、荒神谷(こうじんだに)遺跡から出土した青銅器の群れ。
1984(昭和59)年、道路工事中に偶然、発見された。358本の銅剣が整然と土中に埋まっていた。翌年には16本の銅矛(どうほこ)と6個の銅鐸出土。
――だれが、なぜ、これほど大量の青銅器を埋納したのですか。
ボランティアの男性説明員に聞いた。
「発見されて30年になりますが、謎のままです。そもそも、大量の青銅器がどこで作られたのかも、分かっていないのです」
彼は、「あくまで推論」として4つの説を挙げた。(1)戦争時、侵略してきた武装勢力に奪われないよう隠匿した(2)大地の神へのささげ物として埋めた(3)他の土地の邪気をはらうために領土の境界に埋めた(4)青銅器は土中で保管する風習があったが、時代の経過とともに放置されてしまった。