原発事故で避難指示区域に指定された南相馬市。震災当時、大腿骨を骨折して入院中だった小夜さんが自宅に戻ることは1度もなかった。懸命にリハビリを続けていたのに、高野さんから「しばらく家には帰れないんだよ」と聞かされると、寂しそうな表情を浮かべ、それまでつけていた日記もやめた。次第に食事もとれなくなり、最期は眠るように息を引き取った。市側は「治療を受けられる環境にあった」との理由で関連死と認定しなかった。
高野さんが裁判という手段を選んだのは、小夜さんの悔しさを晴らすためだけではない。
「今回の震災や原発事故は過去に例を見ないほど特異な災害。国はこの災害を踏まえた上で震災関連死の基準をつくるべきだ」と高野さんは語る。
負担大きい異議申し立て
震災関連死は、不認定とされた場合には異議申し立てができる。しかし、さらに震災や原発事故との因果関係を証明する証拠を示さなくてはならないため、遺族にとっては負担が大きい。一度不認定とされれば、異議を申し立てない人もいる。