合言葉は「タンクローリー!」。(左から)中村洪太さん、文子さん、小春さん、一般社団法人「Get_in_touch」理事長の東ちづる、片岡聡さん、菊地啓子さん。菊地さんのドレスはこの日のためのお手製(越智貴雄さん撮影)【拡大】
たとえば菊地さんが暮らすアパートの大家さん。自閉症によくあるパニックを起こして家を飛び出しても、大家さんが「大丈夫、放っておいてあげれば落ち着くから」と集まってきた人に説明してくれるのだという。文子さんも「交番のお巡りさんに抜群の人がいた」と教えてくれた。小さい頃は迷子になったりパトカーに乗ることが日常茶飯事だった洪太さん。交番から「洪太君、家にいますか? いないなら、今、ここにいるのが洪太君です」と電話がかかってきたことがあったという。
自閉症は分かりづらい障がいだといわれるが、「理解と対応が難しい」と考えるか、「同じ人間だもの。何とかなるよ」と考えるかで、ずいぶん違うのではないだろうかと感じる。
一緒にいると気づくことがたくさんある。撮影の時、洪太さんのお気に入りの言葉「タンクローリー! タンクローリー!」をみんなで笑いながら叫び続けた。無理やりやらせようとするのではなく、こちらも楽しみつつ合わせてみることでうまくいくんだと知った。本やネットで調べたり学んだりするのも大切だが、一緒にいることで気づきが身につく。ちょっとした気づきで、相手も自分らしくいられ、私自身もラクになるのなら何よりだ。(女優、一般社団法人「Get in touch」代表 東ちづる/撮影:フォトグラファー 越智貴雄/SANKEI EXPRESS)