本作の舞台は、とある大災害に見舞われた日本。放射性物質でオブジェを制作することで無差別テロを画策する芸術家の柳田(岸部)、幼い娘に暴力を振るう若い母親、何かと暴力に訴える漫才師志望の若者など、正しい生き方を見失ってしまった人物が次々とスクリーンに登場し、見る者に「生きるとは何か?」という問いを、真正面から突きつける。
僕もアドバイスをしません
撮影現場で顔を合わせた大学生たちの姿が新鮮に映った。ピリピリと緊張感を漂わせながらも、伸び伸びと自由に考えながら飛び回っていたのだ。「僕の衣装を選んでくれた大学生たちがそうでしたね。『演技は初めて』という大学生の俳優もいましたが、福岡監督は決して『こういうふうにした方がいいよ』とは言いません。彼らに思うところをすべて作品に盛り込んでもらうのが狙いですから。だから僕も彼らにはアドバイスをしません。逆に質問もなかったですよ。自分の役について『どうすべきか』とか、プロ俳優との撮影ではやりとりがあるんですがね。彼らは思い切りやっていましたよ」