椿の花は花びらが散るのではなく、花一輪がそのままぽとりと落ちる。咲く姿も散る一瞬も、そこはかとない潔さを感じる花なのだ。(エッセー:須磨ハートクリニック院長 須磨久善(ひさよし)/撮影:ファッションプロデューサー 大出一博(おおいで・かずひろ)/SANKEI EXPRESS)
≪当たり前の日常にある美しさ≫
ツバキの学名は「カメリア・ジャポニカ」(Camellia Japonica)という。学名にジャポニカとつくのは、日本が原産国だからだ。初めて欧州に紹介したのは、江戸時代の17世紀末、長崎・出島に滞在したドイツ人医師、エンゲルベルト・ケンペル。その記述を元に植物分類学の始祖とされるカール・フォン・リンネが18世紀半ばに学名をつけた。
19世紀に入ると、ツバキは冬にも常緑で日陰でも花を咲かせることから園芸植物として欧州の人々に好まれ、豪華な花をつける新品種が次々と作られた。ブローチやコサージュなど装飾品の造形としても定番となった。オリエンタルビューティーへの憧れを象徴する存在だ。