シンガポールで支持者に手を振る、在りし日のリー・クアンユー氏=2011年4月27日(AP)【拡大】
≪繁栄築いた「建国の父」 専制批判も≫
シンガポールの繁栄を築いたリー・クアンユー氏が死去した。権威支配の下にエリートの頭脳を集めることで、マレー半島南端の貿易港をアジアの金融センターに変えた政治スタイルは、「専制国家」との批判にたじろがない哲学に貫かれていた。
日本の投資や技術誘致
リー氏の首相在任は英領自治州時代を含め31年におよぶが、追放同然で実現したマレーシアからの分離独立(1965年8月)は、演説の途中で涙を流すほど、リー氏には苦しい船出だった。
複雑な民族構成、共産勢力の脅威、皆無に等しい経済資源…。「どこから来たのかは忘れろ。今日から誰もがシンガポーリアンだ」という独立初期の訴えは、国民統合と経済建設に踏み出す号令であり、今も生きるこの国の理念だ。