ハワイの風も感じる
一方、ハワイのレネ・パウロは、まさにノスタルジーをそのまま音にしたようなスタイルだ。景気の良かった1960年代に数え切れないくらいのレコードを出していた彼は、ワイキキのナイトクラブの顔とでもいうべき存在だったピアニストである。しばらくブランクもあったが、21世紀に入ってから復活し、85歳となる現在も精力的に活動している。今年発表されたばかりの新作「スターダスト~スウィート・メロディー・フォー・ハワイ~」は、いわゆるスタンダード集。「ムーン・リバー」、「星に願いを」、「虹の彼方に」といったどこかで聴いたことのあるメロディーが優しいタッチで奏でられていく。ジャズやミュージカルの名曲ばかりなのに、なぜかハワイの風が感じられるのも面白い。少しせつない気分になるためのBGMとしても申し分のない作品だ。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)