辺野古沖でカヌーに乗り、海上保安官とにらみ合う基地建設反対派の人たち=2015年3月30日午前、沖縄県名護市(共同)【拡大】
「普天間飛行場周辺の危険性や騒音の継続」「日米の信頼関係への悪影響」
林氏が執行停止を決めた論拠はこの2つの損害だ。指示に基づいて作業を停止すれば辺野古移設は大幅に遅れ、普天間飛行場の危険性は除去できず、日米同盟の信頼関係も損なうとの防衛省の主張を受け入れた上で、決定書はこう結論づけた。
「効力の停止以外の措置で損害を避けるという目的を達することはできない」
2つの損害を避けることは辺野古移設の意義そのものだ。普遍的な論拠でもあるため、防衛省幹部は「審査請求の裁決でも重視されるはずだ」と指摘し、裁決で指示が取り消されることに手応えを示す。
翁長氏は指示を出した23日から1週間後の30日までに防衛省が作業を停止しなければ、辺野古沖での岩礁破砕許可を取り消す考えを示していた。指示が効力を失ったことで、水産庁幹部は「指示に基づいて許可を取り消すことはできない」との認識を示した。