自分にも人にも誠実に
彼らの鳴らす音楽が変わってきたように私が感じたのは、この自主レーベルから現レーベルと契約するまでの時期だったと感じている。挫折を経験しても大切なものを守って前に進むこと、人のつながりや感謝の気持ちをストレートに、なじみやすいメロディーと勢いのあるバンドサウンドに昇華した楽曲は、聴く人やライブを見た人をひきつけていった。今ライブは活況で、動員はメジャーレーベル在籍時期と並ぶかそれ以上だ。
「本当のことだけを言いたくて、それを気持ちよくやっていたら、手を差し伸べてくれる人が増えてきました」とボーカルの渋谷龍太は言う。「自分にも人にも誠実であれ、という一点でやってきました」とギターでソングライターの柳沢亮太が言うように、音楽以前に人として真っすぐに生きることがこのバンドの魅力となって人をひきつけていると感じている。
そんな彼が病気で入院し、バンド活動からの離脱を余儀なくされた時期があった。「『証明』という曲のデモが退院したばかりの柳沢から届いて、移動の車中でみんな聴きながら泣いていたのをすごく覚えています」と藤原は話す。