ここ数年で、季節を問わず大型の野外フェスティバルや多会場を使ってのライブサーキットなど、たくさんのバンドが登場するイベントが増えている。大きな会場の開放的でスケール感のある雰囲気と、アーティストのエネルギッシュに会場をあおるようなパフォーマンスが合わされば、非日常的な高揚感を楽しめる。最近では夏だけでなく、春、冬にも開催されているという状況だ。
そこに来るお客さんはというと、お目当てのアーティストを見に来た人と、なんとなく居合わせた人も同じようにステージを見ることになる。そうなると演者はライブパフォーマンスで引き付け、短時間で魅力を感じてもらえるように印象付けられるような楽曲を、昔に比べて意識するようになっているのではないかと感じている。
ロックバンドの曲の中でも、踊れる、スピード感のある曲が増えていて、「踊れるロック」のなかでも「4つ打ち(ダンスミュージックがベースになっているドラムのビート)ロック」がはやっているのは、そういったフェスの影響も大きいと思っている。大勢で盛り上がる会場を見るのは楽しいし、ステージ上から見る光景もまた特別なものだと聞く。一方で、フェスでお客さんが踊って盛り上がったかどうかだけでバンドの良しあしを判断することに疑問を感じているアーティストもいる。