しかし、英ロックバンド、ブラーのデーモン・アルバーンのプロジェクトであるアフリカ・エクスプレスのプロデューサーの耳にとまり、それをきっかけにアルバム「ミュージック・イン・エグザイル」でワールドデビューを果たした。アフリカの伝統音楽に基づいたメロディーやハーモニーなどをふんだんに取り入れ、ありきたりのロックンロールをけちらすタイトで太いビートで包み込んだサウンドが圧巻だ。
フォークからオーケストラまで
中東のイスラエルにもブルースが存在するというと、ちょっと驚くかもしれない。ウジ・ラミレスは、ブーム・パムというサーフロック・バンドにも在籍していた個性的なミュージシャン。長髪にあごヒゲ、大きなサングラスという風貌だけでもインパクトはあるが、その音楽もなかなかユニーク。1970年代のサイケデリック・ムーブメントそのまんまといったイメージで、ブルース・ロックを基調にアコースティックなフォーク風からオーケストラ・サウンドを取り入れた壮大な世界まで振り幅もかなり大きい。味のあるダミ声ボーカルも含めレイドバックした印象だが、どこかエキゾチックな雰囲気も持ち合わせている。時代も国籍も超越した味わいが楽しめる唯一無二の個性派だ。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)