米州首脳会議の議場で握手を交わすバラク・オバマ米大統領(左)とラウル・カストロ国家評議会議長(右から2人目)。国連の潘基文事務総長(右)が見守っていた=2015年4月10日、パナマ・首都パナマ市(ロイター)【拡大】
≪カストロ氏 最大限の譲歩狙う≫
キューバのカストロ国家評議会議長が11日、米州首脳会議開催と並行してオバマ米大統領と会談に臨むのは、多くの首脳が注目する歴史的な二国間会談の中で、オバマ氏から最大限の譲歩を引き出したい狙いがあるためだ。
任期残り2年を切ったオバマ氏にすれば、キューバ政策で歴史的成果を上げておきたいのが実情。こうした中、米国にキューバ大使館を置くのと引き換えにハバナに米大使館を設置する問題をめぐり、外交官の「移動の自由」実現などを目指す米国を牽制(けんせい)することが可能となる。
政権転覆に結びつきかねない米側の活動を極力封じ込めたいキューバ側にとって、今回の交渉の舞台は「功を焦るオバマ氏に一定の要求をのませる格好の機会」(外交筋)といえる。
米州首脳会議には多くの反米左派の首脳が集結しており、米国への圧力も期待できる。世界の超大国を相手に半世紀以上持ちこたえてきたと自負するキューバだが、パナマ入りしてさっそく「中南米への米国の侵略を許さない」などとかみ付いたベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領(52)らは力強い存在だ。(パナマ市 黒沢潤/SANKEI EXPRESS)