加藤前支局長の事件は、韓国がプチ帝国主義政策を日本に対して取っているという現実を可視化させた。仮に米国、英国、ドイツ、ロシアなどの新・帝国主義国のジャーナリストが、加藤氏が書いたのと同様の記事を書いたとしても、韓国当局が刑事事件化することはなかったと思う。自由と民主主義という普遍的価値観を、日本に対しては適用せずに、韓国は自国の主張を一方的に展開したのである。
加藤氏に対する裁判を継続している限り、韓国は国際社会から国際基準の人権と取材の自由が保障される国とは認知されない。この事件に対して、朴大統領は被害感情を表明していない。朴大統領が、「私は加藤氏の記事に対して名誉を毀損されたという被害者感情を持っていない」と言えば、起訴は撤回され、免訴となる。側近たちが朴大統領の歓心を買おうと忖度(そんたく)し起きたというのがこの事件の本質だと思う。それならば、朴大統領の政治決断で、日韓ののどに刺さったトゲとなっているこの事件を解決すべきだ。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)