持ち前の反骨精神に、たっぷりと“毒ガス”を含んだユーモアのスパイスを利かせて作りあげたのが、北野武監督(68)=脚本、編集、俳優も担当=の新作「龍三と七人の子分たち」だ。とうの昔にヤクザから足を洗った元組長と7人の元子分たちが再び組を結成し、若いチンピラで構成されるオレオレ詐欺集団の成敗に立ち上がる痛快活劇。北野監督は「暴力映画ばかりを撮ってきたので、たまにはお笑いの映画もやってみようと思った」と語り、主演の藤竜也(ふじ・たつや、73)は「難しいことは考えないで純粋に映画を楽しんでほしい」と声を弾ませた。
同居するサラリーマンの息子夫婦にはすっかり厄介者扱いされ、暇つぶしに出かけたパチンコも負けが込み、むしゃくしゃして他の客を殴りつけてしまう始末。水に合わない堅気の生活で“くすぶっていた”元ヤクザの組長、龍三(藤)はある日、「オレオレ詐欺」にひっかかってしまう。義理も人情のかけらもない、一見堅気に見える若者たちで構成される詐欺集団(安田顕など)に天誅(てんちゅう)を下してやろうと、龍三は昔の子分たち(近藤正臣、中尾彬、小野寺昭、品川徹、樋浦勉、伊藤幸純、吉澤健)を呼び寄せ…。