歌舞伎俳優、中村壱太郎さん。[衣裳協力]スーツ9万2880円、シャツ1万5120円、ネクタイ1万5120円、チーフ4320円、靴6万4800円。ベストはパターンメイドオーダーのみ=2015年3月26日(大石一男さん撮影)【拡大】
長所は、一度始めたら、最後まで貫き通すことと、人見知りすることなく、だれとでも気軽におしゃべりできること。「舞台は一人ではできない。スタッフさんがいて、共演者さんがいて、お客さまがいないとできない。なぜか人とかかわるのが好きなんですねえ」と周囲のスタッフに語りかける。壱太郎さんを囲んでインタビューをしていると、なぜか周囲に笑顔が広がっていく。そんな不思議な魅力を感じた。(文:水戸貞利/撮影:フォトグラファー 大石一男/SANKEI EXPRESS)
■なかむら・かずたろう 1990年8月3日、東京生まれ。四代目中村鴈治郎の長男。母は日本舞踊吾妻流三世宗家の二代目吾妻徳穂。91年、京都南座で初お目見え、95年、大阪中座での『嫗山姥(こもちやまんば)』の一子・公時で、初代中村壱太郎を名乗り初舞台を踏んだ。2007年、16歳で大曲『鏡獅子』を踊り、09年は『封印切』の梅川を好演。10年には祖父・坂田藤十郎がそれまでほぼ一人で演じてきた『曽根崎心中』のお初に大抜擢(ばってき)された。同年、11年と2年連続で国立劇場奨励賞。11年、文化庁芸術祭賞新人賞。