白人警察官の取り締まりを受けた黒人が不適切な対応によって死亡する事件が相次いでいる米国で、警官と一般市民との間で暴力行為等のトラブルが発生した際にスマートフォン(高機能携帯電話)でその様子を記録し、弁護士に送信できる無料アプリを米人権団体が開発、4月30日から市民への提供を開始した。すでに警察の側では昨年来、一部の地域で警察官がパトロール中にボディーカメラを装着。勤務状況がそのまま記録されるシステムを広めることで強権的捜査への抑止力を高める試みが始まっている。スマホやカメラによるがんじがらめの監視で不祥事を防ぐという様相は寒々しいが、これが米国社会が負った深い傷痕の現実だ。
破壊されても有力証拠
警察による市民への暴力・人権侵害行為などを告発する手段となるスマホ用アプリを開発したのは、米国最大の人権擁護団体「アメリカ自由人権協会(ACLU、本部ニューヨーク)」で、まずカリフォルニア州で無料提供を始めた。AFP通信によると、アプリは「モバイル・ジャスティス(正義の携帯)」と名付けられ、グーグルの基本システム(OS)「アンドロイド」とアップルの「iOS」の双方に対応している。