米中西部ミズーリ州ファーガソンで今年8月、丸腰の黒人青年のマイケル・ブラウンさん(18)が白人警官、ダレン・ウィルソン氏(28)に射殺された事件で、地元大陪審は24日、ウィルソン氏を不起訴処分とした。市内では、これに反発した黒人住民らによる暴動が発生、ジェイ・ニクソン州知事(58)が非常事態を宣言した。検察側は厳しい大陪審の守秘義務を押してウィルソン氏の証言内容を明かすなど異例の情報公開を行ったが、暴動は事件発生以来最悪の規模に発展。米国を覆う出口の見えない人種対立の根深さを改めて露呈した。
事件を管轄するセントルイス郡検察のロバート・マクロク検事は大陪審の判断について、「全ての証拠を精査した結果、殺人などの罪で起訴するに至らないとの結論に達した」と述べた。審理は計25日間の長期に上ったとしている。
公正さに疑問視
ただ今回の大陪審をめぐっては当初から、公正さを疑問視する見方が示されていた。事件が起きたファーガソンは黒人住民が圧倒的に多いが、白人警官の起訴の是非を判断する大陪審(12人)は郡全体の人種比率に応じて白人9人、黒人3人で構成された。米紙ニューヨーク・タイムズは社説で、大陪審の12人は公正さを示す義務があるとした上で、「先入観を差し挟むことは許されない」と早くからくぎを刺していた。