ラウル・カストロ国家評議会議長(右)と会談する岸田文雄外相=2015年5月2日、キューバ・首都ハバナ(外務省提供・共同)【拡大】
天然資源や観光名所に恵まれるキューバに秋波を送るのは各国とも同様。2月にトルコのエルドアン大統領、3月に欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表がキューバ入りした。5月には、フランスのオランド大統領も訪れる。
日キューバ関係筋は「両国には長い友好関係がある。ケリー米国務長官が訪れる前になんとか岸田氏を訪問させたかった」と満足げに振り返る。
大規模経済協力は見送り
だが注目された経済援助の拡充は無償資金協力による医療機器提供の検討にとどまった。これまでの1件原則1000万円以下の「草の根無償資金協力」と比べれば拡大だが、数億円規模にすぎない見通しだ。経済関係の諸課題を議論する「官民合同会議」の新設で合意したものの、こちらはほとんど予算を伴わない協力だ。
日本政府筋は「米議会は対キューバ強硬派の共和党が優位。突っ走ると国交正常化交渉が頓挫した時に後戻りできなくなる」と背景を説明する。