万有引力の法則を発見した英国の科学者、アイザック・ニュートン(1643~1727年)が、1702年にアン女王(1665~1714年)が戴冠した際に鋳造された記念メダルをデザインしていたことがこのほど発見された文書で明らかになった。ニュートンは、女王を苦しめる“敵”をメダルに描き、王家の政治宣伝にも加担していた。古典力学を創設し、聖書や錬金術などさまざまな研究に没頭したマルチタレントの新たな素顔が浮かび上がってきた。
手書きノート発見
英BBC放送によると、英オックスフォード大学大学院生、ジョセフ・ホーンさんが、キューにある国立公文書館で、ニュートンが記念メダルのデザインについて自ら手書きで記したノートを発見した。
ノートは全部で50ページ。その留め金が完全に錆(さ)び付いて開封された形跡がなかったため、長年にわたり見逃されてきたことがわかったという。
女王の戴冠記念メダルのデザインはこれまで、宮廷画家が担当したと考えられていた。しかし、当時、王立造幣局長官だったニュートンが、図柄を自ら手がけたことがノートには記されていた。
さらに、ギリシャ神が2つの頭をもつ化け物を打ち負かすメダルの裏面の図柄は、女王を単に国家の守護者とする意図だけではなく、女王の治世で懸案となっていた政治的な2つの脅威を描写しようとしたことが明らかにされた。