「死者の町」に立つ大きなドーム型の霊廟(びょう)。町にはこうしたマムルーク朝時代(1250~1517年)の権力者の墓所が点在する=2015年2月17日、エジプト・首都カイロ(今井竜也さん撮影)【拡大】
≪人の出入り生む墓地…死と生が共存≫
町の小学校の前では、12人の子を持つハサンさんが子供たちを迎えに来ていたところで、家族の話などを聞かせてくれた。そんな中、サウベルさんと出会った。彼は墓守として「死者の町」で暮らしている。
管理、居住している場所を案内してくれた。墓はとても立派で、八角形の天井部分には、色付きのガラスのような物が天窓としてあり、墓石にはきれいな模様が施されている。
墓石の先端部分がトルコ帽のような形になっているのが男性で、ターバンのようになっているのが女性だ。そしてその地下へ、普段は土を掛けられ閉じてある階段で下りると墓室があり、そこでも男性と女性の遺体が分けられて埋葬されている。サウベルさんの居住場所はその敷地内にあり、冷蔵庫や多少の生活用品はあるが、生活の厳しさがよくわかる。それでも家があるだけましで、家がない人も多い。