引っ掛けで佐田の海(左)が日馬富士(はるまふじ)を破り、初の金星を挙げた=2015年5月13日、東京都墨田区・両国国技館(共同)【拡大】
大相撲夏場所、結びの波乱に土俵上を座布団が舞った。佐田の海が取り直しの末に日馬富士(はるまふじ)を撃破、初金星を手にした。攻め込みながら、相手の上手投げに落ちた最初の一番は物言いが付き取り直し。今度は押し込まれた。俵に詰まった左足1本で何とか残し、右腕を手繰りながら逆転の引っ掛け。最後まで諦めない執念のなせる技で勝利をつかんだ。
同じしこ名で元小結だった父の背中を追ってきた。稽古休みとなる本場所千秋楽翌日にもまわしを締め、四股を踏む。「休むと不安になるんです」。183センチ、138キロの小兵は稽古量で体格差を補ってきた。
幕下の頃。右足首や目の周辺を骨折したことで引退を考えた。師匠の境川親方(元小結)から「頑張ってれば必ずチャンスは来る」と諭された。
腐らずひたむきに相撲を取り続け、父も手にしたことがない金星を奪取した。それでも「まだまだっすね」と満足していない。幕内上位にいるいま、目前にある念願の三役昇進へと、真っ直ぐ歩む。(SANKEI EXPRESS)