そこで大事なのは、発想を変えることだろう。人と仕事を「1対1」で対応させるのではなく、複数の高齢者の能力や適応可能時間を細切れにし、それを再統合して1つの仕事を達成する「多対1」の対応が重要ではないか。
有効なのは企業からの仕事の受注を業務請負型で行い、高齢者にはワークシェアリングとして提供する手法だ。これについては広瀬通孝東大教授らが「高齢者クラウド」として実証実験を進めている。ICT(情報通信技術)を活用したマッチングシステムだ。
別名「モザイク型就労モデル」と呼ばれるこのシステムでは、例えば、中小企業から請け負った1人の海外事業部長の職を3人の海外経験豊富な高齢者が共同して担うことが可能になる。
潜在的に高齢者は「お荷物」という意識が底流にある社会では持続的な成長はおぼつかない。マッチングを工夫し、企業も高齢者もウィンウィンの関係をつくっていきたい。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)