同じ豊川市にある母の実家の近くには、第二次大戦中に東洋一の規模といわれた海軍工廠(こうしょう)跡があります。祖母から聞いたのですが、戦時中はその横に茶畑がたくさんあったそうで、農業をしていた祖母は畑に出ているときに空襲警報のサイレンが聞こえてくると、腰をかがめ茶畑の陰に沿いながら家までたどり着いたお話をよくしてくれました。何度聞いてもドキドキするお話でした。空を飛んでいる戦闘機から、小さな黒い人影が動くのを発見されてしまったらすぐに弾を落とされそうです。木の陰に隠れながら移動することを思いついたのは祖母なのか、それとも戦時中を生きた人たちの知恵で海軍工廠付近に茶畑を作ったのか分かりません。
甘くてマイルドな新茶をほっこりとした気分で味わっていても、戦争のスリリングな茶畑を想像すると徐々に動悸(どうき)が激しくなってきました。(イラストレーター 平松昭子/SANKEI EXPRESS)