スポットライトを浴びてステージで屹立(きつりつ)するギターは、さながら希代のギタリストの墓標のようである。ヘッドには「ギブソン」の商標とともに「ルシール」と女性の名が記されているのが読み取れる。「キング・オブ・ブルース」。B・B・キングの愛器である。
14日、米ネバダ州ラスベガスの自宅で亡くなった。89歳。持病の糖尿病が悪化し、在宅介護を受けていたという。写真は17日、ラスベガスで行われたビルボード・ミュージック・アワードのステージ。キングをしのんで、彼の愛器が飾られた。
キングは1925年9月16日、ミシシッピ州イッタベナのプランテーション(大規模農場)で小作人の子として生まれた。4歳の時に両親が別れ、ミシシッピ州キルマイケルに移り、祖母に育てられながら、ここでも綿花を摘んだ。
教会の牧師がギターを弾きながら黒人霊歌を歌っていたことから、音楽に興味を持つ。綿花農園でブルースを、教会でゴスペルを、そして母親のいとこで後にブルースの殿堂入りするブッカ・ホワイトからギターの弾き方と作詞、ショーマンシップを学んだ。