ブルースの誕生と進化を一人で体現したような人生である。そしてその傍らには、常に「ルシール」と名付けたギターが寄り添った。ステージなどでキングはルシールを「最愛の女性」と呼び、例えばこう歌った。
「ぼくはルシールに首ったけさ。ルシールは、ぼくを農場から連れ出してくれた。ルシールは、ぼくに名声をもたらしてくれた」
ギタリストとギターの最良の関係は、死の間際まで続く。多くのギタリストに尊敬され、世界中のファンに愛された。ステージのギターはその象徴である。
なぜか、植木等の告別式を思いだす。きまじめなジャズギタリストだった彼は、後に希代のコメディアンとして、晩年は性格俳優として人気者となった。葬儀の祭壇中央には彼の愛器が立てられた。これも、ギブソンのギターだった。
≪ブルースは王様を失った≫
コード進行やメロディーラインにバリエーションが少ないことから「ブルースに名曲なし。ただ名演があるのみ」といわれることもある。
ギタリストはそれぞれ、個性に富み、1小節も聴けばそれが誰の演奏か分かることが多い。だがB・B・キングのギターは「最初の1音を聴けば分かる」と評された。