円安が進み、1ドル=124円台を表示するボード。日経平均株価の終値は10営業日連騰となり、一時は2万600円を超えた=2015年5月28日、東京都港区東新橋の外為どっとコム(福島範和撮影)【拡大】
自動車生産の国内回帰も
一方で自動車は円安の恩恵を大きく受け、大手8社の15年3月期連結決算はトヨタ自動車など4社が最終利益で過去最高益を更新した。
生産を国内に回帰させる動きも出ている。日産自動車は北米で好調なスポーツタイプ多目的車(SUV)「ローグ」を15年度末ごろから福岡県苅田町の工場で生産し、輸出する計画だ。
16年度には国内の生産台数が2年ぶりに100万台を超える見込みで、カルロス・ゴーン社長は輸出競争力が戻ることで「国内の生産台数は上がる」と歓迎する。
みずほ証券の上野泰也シニアエコノミストは「円安はトータルでは日本経済にとってプラスだが、産業構造の変化で以前ほど恩恵が出にくくなっている」と分析する。「企業業績の改善で賃上げが進んでいるが、円安による物価高で相殺されてしまう」と消費への悪影響を指摘している。(SANKEI EXPRESS)