国民一人一人に番号を割り振る「共通番号(マイナンバー)制度」の医療分野への本格活用に向けて、政府がようやく動き出すことになった。
5月29日に開かれた政府の産業競争力会議の課題別会合で、医師による診察結果や処方箋といった医療情報を電子カルテによって一括管理する一方、マイナンバーカードを健康保険証として活用し、医療の質向上と効率化を図る方向で合意された。
甘利明(あまり・あきら)経済再生担当相は会合後の記者会見で「電子カルテなどの情報を通じての医療革新が期待される。患者の利便性向上だけでなく、関連産業の創造、社会保障費の削減といった一石四鳥の効果が得られる」と強調したが、まさにその通りだろう。
東京大学の秋下雅弘教授らは、常用薬が6種類を超えると「薬物有害事象」、いわゆる薬による副作用症状が出る確率が大幅に高くなるとの研究結果を発表し、数年前から警鐘を鳴らしてきた。