【国際情勢分析】
中国各地でストライキなどの労働争議が急増している。景気低迷と人件費高騰で一部企業に賃金や社会保障の未払いなどが生じていることが直接的な原因だが、インターネットやソーシャルメディアの普及が「労働者の権利意識の覚醒」(AP通信)をもたらしているとの指摘もある。海外からの進出企業には新たな「チャイナリスク」となる一方、中国共産党にとっても将来的に一党統治への脅威につながる動きとして座視できない存在になりつつある。
新たな「チャイナリスク」
香港メディアなどによると3月24日、中国広東省中山(ちゅうざん)市にある日系のハンドバッグ工場で、賃金や社会保障などをめぐって労働者約280人がストライキを決行、警官隊が出動し負傷者や逮捕者が出た。地元当局によると労働者の一部が工場内の車両のタイヤをパンクさせたり監視カメラを破壊したりしたほか、他の労働者が仕事に復帰するのを妨害するなどし、4人が逮捕されたという。一方、労働者側は「平和的なストを警察が攻撃した」と主張している。