幽玄的な歌声
一方、ソーレイはアイスランドらしさが表れた繊細なシンガー・ソングライターだ。シーベアというグループで活動した後、2011年にソロ活動をスタートさせた。彼女はバンドではキーボード奏者だったが、マルチ楽器奏者としても知られている。しかしなにより、個性的なのはその深みのあるボーカルだ。どこかビョークにも共通する幽玄的な響きを持つ声は、聴く者を深い闇の中へと誘ってくれるだろう。2作目となるソロアルバム「アスク・ザ・ディープ」においても、静けさをたたえたピアノはもちろんのこと、ノイジーなギターをフィーチャーした楽曲までアレンジの振り幅は非常に広い。しかし、凛(りん)とした歌声だけは揺るぎなく、研ぎ澄まされた雰囲気を作り上げていく。オブ・モンスターズ・アンド・メンが青空だとすれば、ソーレイは漆黒の夜空。その対比を味わってもらいたい。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)