東京圏の75歳以上の高齢者を受け入れる余力がある41地域のリストを示しながら、政府や自治体への提言内容を説明する「日本創成会議」の増田寛也(ひろや)座長=2015年6月4日午後、東京都千代田区(共同)【拡大】
民間団体「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)は4日、東京圏の75歳以上の高齢者が今後10年間で急増するとして、医療・介護の施設や人材に余裕がある富山市や鹿児島市など26道府県の41地域に高齢者の移住を促すよう政府や自治体に求める提言を発表した。菅義偉官房長官は記者会見で「地方の人口減少問題の改善や地域の消費需要の喚起、雇用の維持・創出につながる」と述べ、東京一極集中の是正に向けた地方創生の柱として高齢者移住を推進する方針を示した。
ただ、自治体側には「無理に高齢者を地方に移住させるのは違和感がある」(黒岩祐治神奈川県知事)といった慎重意見や、財政事情が厳しく負担増を懸念する声があり、実現には時間がかかりそうだ。
介護施設整備に限界
提言では、国立社会保障・人口問題研究所の推計で、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川の4都県)の75歳以上の人口は、2025年時点で15年に比べ175万人多い572万人となり、増加数は全国の3分の1を占めるとした。25年には東京圏全体で介護施設やサービス付き高齢者住宅などが不足するが、土地の確保が困難なことなどから施設整備には限界があると指摘。