シドニー五輪の200メートル背泳ぎ準決勝で2位のタイムを出し決勝進出を決め、スタンドに手を振る萩原智子さん。五輪を目指すなか、いろいろな人の出会いが支えになった=2000年9月21日、オーストラリア・シドニー(川村寧撮影)【拡大】
【笑顔のアスリート学】
「同じ施設で合宿をしているのに、あいさつもろくにできない。同じ競技を志す仲間として、情けない。あいさつは、基本だよね」
今年のゴールデンウイーク中のこと。合宿を行ったある指導者が、残念そうにつぶやいていた。所属するクラブが違ったとしても、たとえ初対面だったとしても、水泳というスポーツを通じてつながる仲間である。私もこの一件を知り、残念な気持ちになった。
私は現役時代、指導者から「同じ施設内にいる人は、何かしらの関係者だからしっかりあいさつをしなさい」と言われて育ってきた。もちろん初めからあいさつができたわけではない。恥ずかしさもあり、勇気を振り絞ってあいさつをしていた記憶もある。
しかし意識するようになるにつれ、合宿や試合で同じ宿舎になった人たちと、ごく自然にあいさつができるようになっていった。初対面でもあいさつをすることで次には会話が始まり、友人になるきっかけになったこともあった。知り合いになった指導者からは、自分自身が困っているときにアドバイスをもらったこともある。