この原稿が掲載される頃、私はケニアの大地に立っているはずだ。人生2度目のアフリカである。
4年半前、人生初のアフリカに行ったときは、半年以上前から準備した。滞在期間が約2カ月と長かったこともあり、予防接種だけで10本くらい打った。しかし、2度目のアフリカではそうはいかない。なにしろこの原稿を書いている出発前日のいま、着ていく服も靴も何も準備していない。カメラもこれから買う予定だが、買いに行けるかも分からない。唯一、以前のアフリカ行きの際に打った黄熱病の予防接種だけが、10年間の有効期間内で「準備万端」となっている。
それもこれもすべて、日本年金機構の情報流出事件のせいだ。そのうえ、お隣の国では中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスが広がっており、その取材もしなくてはならない。厚生労働省を担当する私は、帰宅もままならず、海外出張の準備がまるでできていないのである。
個人情報が大量に漏れた事実は重いが、現代社会でインターネットと無縁に生きる人はまれだろう。コンピューターウイルスに感染する恐れは常にあり、対策ソフトも十分ではない。不審なURLや添付ファイルを開かなければ大丈夫とは聞くものの、そうした経路以外で感染するウイルスができるかもしれない。確かに機構の対策は甘かったが、他山の石とすべきである。