【メディアトリガーplus(試聴無料)】映画「奇跡のひと_マリーとマルグリット」(ジャン=ピエール・アメリス監督)。公開中(メゾン提供)。(C)2014-Escazal_Films/France_3_Cinema-Rhone-Alpes_Cinema【拡大】
何も見えず聞こえない少女は、強烈に何かを求めていることがうかがえる。それにつながるのは、修道院の野菜畑でトマトに「とっても美人ね」と語りかけながら幸せそうな修道女マルグリット(イザベル・カレ)の姿。“今から出会う運命の2人”に共通する純粋な感受性を想像させるのに十分なイントロダクションである。マリーは今まで会ったことのない修道女たちが自分に触れた途端すさまじい勢いで反発し、芝生の庭を暴走したあげく木に登ってしまう。その尋常ではない抵抗は、マリーが管理されることを何よりも嫌うことを証明する。
マルグリットは恐る恐るマリーに近づき、ゆっくりと優しく手に触れる。マリーは誰の手なのかを確かめようとマルグリットの顔をなぞる。マルグリットはマリーの自由を求める魂に“恋したように”惚(ほ)れ込んでしまう。そして、ナイフもスプーンも持ったことがないマリーという「野生児」を「人間」に育てようとするマルグリットのすさまじい闘いが始まる。