【メディアトリガーplus(試聴無料)】映画「奇跡のひと_マリーとマルグリット」(ジャン=ピエール・アメリス監督)。公開中(メゾン提供)。(C)2014-Escazal_Films/France_3_Cinema-Rhone-Alpes_Cinema【拡大】
心の洗濯したような
中盤では、ヘレン・ケラーとサリバン先生の物語でおなじみの“人間らしい振る舞いとマナーをたたき込む”想定内の格闘シーンが続く。しかしこの映画の神髄は後半である。マルグリットがマリーに教えたかったのは、目に見えるモノの名前だけではなかった。それらを踏まえた上で「愛とは?」「生きるとは?」「死とは?」という「概念」を教えようとしていたのだ。
言葉を覚え手話を取得し知的で可憐(かれん)な少女に変身していくマリーを見ながら、マルグリットの体は病に蝕(むしば)まれていく。一方、両親への愛や感謝までも伝えられるようになったマリーは、マルグリットの死を受け入れ献身的に看病するまでに成長する。「育った人」と「育てた人」の姿は身障者云々という次元を超え、友情と信頼、愛と希望への普遍的な物語として輝きを増す。