政府は12日、東京電力福島第1原発の廃炉に向けた中長期ロードマップ(工程表)を改定した。がれき撤去作業がさらに遅れることや追加の安全対策などを盛り込み、1~3号機の燃料貯蔵プールからの燃料取り出しの開始時期を従来の工程より最大で3年遅らせた。一方、溶け落ちた燃料(デブリ)の取り出し時期や、廃炉完了まで30~40年とする全体の工程は維持した。工程表は2011年12月に策定され、改定は13年6月以来2年ぶり。
鍵握る「デブリ」
改定後の工程表では、今年度前半を予定していた3号機の燃料の取り出しの開始時期について、約30カ月遅らせて17年度とした。がれき撤去の際に放射性物質が飛散した問題や、機器の不調などで大幅に作業が遅れていた。1、2号機の燃料取り出しについても、線量低減など追加の安全対策を反映し、開始時期を17年度から20年度に変更した。
汚染水対策では、原子炉建屋などへの地下水流入で1日約300トンずつ増えている汚染水の発生量を、凍土遮水壁(とうどしゃすいへき)などを導入し16年度中に100トン未満にする。多核種除去装置(ALPS)で処理した後のトリチウムを含む水の処分に向けた準備を16年度前半までに開始する方針を掲げた。