南国の日差しを浴び色あせたディーゼル車両が、ベトナム中部のフエ駅に入ってきた。きれいな車両とは言い難いが、長年走り続けてきた風格に力強さを感じる。
首都ハノイから南のホーチミン(旧サイゴン)までの全長1726キロを結ぶ統一鉄道。激動の歴史が流れたこの国の平和の象徴で、戦争により幾度となく破壊されては復旧を繰り返した不屈の鉄道である。
1945年に第二次世界大戦が終わり、ベトナムを掌握していた日本がポツダム宣言による降伏文書に調印。時を同じくしてホー・チ・ミン(1890~1969年)を国家主席とするベトナム民主共和国(現在はベトナム社会主義共和国)が誕生した。
翌年から始まったインドシナ戦争が終結すると、北緯17度線を境に南北に分断された。やがてホー・チ・ミン率いる北ベトナムは南ベトナム解放民族戦線を結成し、アメリカを後ろ盾とする南ベトナム(ベトナム共和国)との内戦へと発展した。