「人を受け付けない」というアピールも、ある種のコミュニケーションの方法だったのだと彼女は気づいた。いつも「私はここにいるよ」と言いたかったのだと。彼女の満たされない気持ちを埋めてくれていたのは、どんな時も味方でいてくれた家族や、活動を応援し続けてくれている周囲の大人たちの存在だった。彼女の母親は、「なかったら作ればいいじゃん」と補装具のためにお裁縫をし、眠りにつくまで彼女の話を聞いてくれた。「私は周りに恵まれているし、この身体に生まれてきたのもラッキーだった。それに、実はすごく人が好きだったんだなと思うようになってきた」
そんなふうに考えられるようになったのは、パートナーの存在が大きいという。「自分の身体を愛せるようになったのは、今の彼氏と出会ってから。彼は2本指じゃないとダメというくらい、私の手のことが最高に好きらしいんです」とにっこりと笑う。