一部の特殊例を除き、大多数の国は集団的自衛権はじめ外国との軍事協力を国防力に算入して、予算も含め合理的国防体制を構築する。しかし日本は戦後70年、「平和憲法」で国防体制?を構築できると錯覚し、実際は軍事上の現実を見ぬよう思考停止してきた。この知的怠慢は、安全保障関連法制を「丁寧に説明する」危険な環境を育んでしまう。積極的平和主義への動きを、中国など敵性国家を除き、世界中の国々が歓迎しているものの、安全保障関連法成立で限定的ながら集団的自衛権行使の対象となる国は内心ヒヤヒヤしているやもしれぬ。国会では、議員が個別具体的ケースを絵を交えて「パネル展示」。法案成立後の「できる軍事行動」「できない軍事行動」を世界に垂れ流している。中国や北朝鮮は、日本防衛の欠陥を探らんと、国会中継を録画して繰り返し観ているはず。欠陥だらけで、欠陥がいずこにあるかカムフラージュできていれば僥倖だ。
左翼が目指すのは国家・国民を幸せにする憲法・法律が治める法治国家ではなく、国家・国民が持つべき暴力・無法への抵抗力を無力化する硬直した法匪国家。「城を枕に討ち死に」ならぬ「六法を枕にのたれ死に」は、国際社会の奇観である。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)