急落を受けて中国人民銀行(中央銀行)は急遽(きゅうきょ)、証券会社への融資を手がける金融機関向けの資金繰り支援策を表明した。この日は中国国有企業の監督当局も、国有企業の上場子会社の株主による株式の売買停止といった相場安定策を発表。保険監督当局も、保険会社による株式投資の上限引き上げを発表するなど、慌てて打ち出された市場対策が、中国政府の動揺ぶりを浮き彫りにした。
昨年11月の利下げ以降、上海総合指数は高値で推移。年初から6月12日にかけて約60%上昇。過熱感から、その後は一転して約30%下落した。この間も、中国人民銀が追加の利下げを実施したり、証券会社21社が総額1200億元(約2兆4000億円)の上場投資信託(ETF)購入を発表。だが、官民を挙げたてこ入れはほぼ不発に終わった。
中国は15日に4~6月期の経済成長率の発表を控えており、政府目標の7%を下回れば売り圧力が一段と強まりかねない。
春節頃に影響
上海株の下落基調が止まらないことで、訪日中国人観光客の「爆買い」に沸く日本の百貨店や旅行などの関連業界にも動揺が広がっている。中国人個人投資家の損失拡大が堅調だった訪日客消費に水を差さないか、上海株の値動きに気をもんでいる。