世界中の人の心を動かすとびっきり芸術的な作品を撮ろう-。写真に対して激しく燃やした若き日の執念が、独特な美しさを持つ数々の映画作品へと昇華された。
政治的な事情から心ならずも故郷イランを離れた後、イラクのクルディスタン、トルコのイスタンブール、米ニューヨーク、仏パリと居を転々としながら映画撮影を続けてきたクルド人初の映画監督、バフマン・ゴバディ(46)の作風は、イラン革命を背景に愛欲と狂気に満ちた男女の三角関係を描いた新作ドラマ「サイの季節」でも変わらない。
詩人の実体験ベースに
本作は、クルド系イラン人の詩人、サデッグ・キャマンガールの実体験をベースに、ゴバディ監督が脚本を執筆した社会派ドラマ。イラン革命を背景に愛欲と狂気に満ちた男女の三角関係が描かれている。10年ぶりに来日したゴバディ監督はSANKEI EXPRESSの取材に「静かな仕上がりになったと思います。『沈黙』こそ、私がこの映画で最も大切にした要素なのです」と紹介した。